埴輪はなぜ造られるようになったのでしょうか。殉葬の代わりだと聞いたことがあるのですが。 / 埴輪は大量に造られたようですが、特定の職人などはいたのでしょうか。 / 円筒埴輪は、何を象ったものなのでしょうか。
『日本書紀』垂仁天皇紀には、陵墓への殉葬という習俗を抑止するため、古墳の築造や葬礼を掌る土師氏の祖 野見宿禰の提案によって、埴輪の製造が始まるという起源伝承が掲載されています。しかしこれは、どうやら土師氏が始祖を顕彰し自らの職掌を喧伝するための物語に過ぎなかったようです。現在、古墳からは、明瞭な殉葬者の痕跡を発見できません。すでに授業でお話ししたように、埴輪は吉備の特殊器台が巨大化して円筒埴輪になり、そこから家、武器・武具など、モノを具象化する傾向が始まったもの。祭祀の形式を再現するその対象が、最終的に祭祀に参加する人物にまで至った結果です。生き埋めのように埋葬されたわけでもなく、現段階では、殉葬には関係のないものとみなされています。