倭王武の上表文の内容は、すべて事実として認めてよいことなのでしょうか。

もちろん、編纂者による改変の可能性、武自身の誇張など、事実をわい曲した可能性も考えられます。しかし、高句麗百済新羅など、当時の朝鮮半島諸国もほぼ同形式の上表文を宋に送っており、東アジアにおける府官制の展開は事実であった可能性が高いと考えられます。もちろん、武は自らの業績を誇張して訴えていますが、列島内の考古学的成果からすればワカタケルの支配は関東から九州にまで及んでおり、上表文がまったくのフィクションではないことが分かります。他国の史料や考古資料との比較、分析によって、ある程度の事実性はみえてくるものです。