山はしばしば神体として扱われますが、現代においても採掘作業などで崩れてゆくように、古代において大規模な自然破壊はあったのでしょうか。

日本史概説や全学共通日本史でも毎年話をしていますが、古代は開発による自然破壊が大規模に信仰し、自然神を王権が圧伏する「神殺し」が喧伝された時代です。宮都建設が繰り返された淀川水系上流域では山林資源が枯渇し、川に流れこんだ土砂によって、8世紀の末には淡水湖であった難波の河内湖が埋没し始めます。各地で水田が大規模に展開し、平地の森林はほとんど消滅してゆきます。環境史的には、「略奪的開発の時代」と呼ばれています。