仏教は、畜生に対し嫌悪感を抱く面があるとのことだたが、「あの畜生は知り合いの生まれ変わりかも…」として、大事に思うこととは並立していたのですか。

この2つの考え方は矛盾しますが、別の面では相乗効果を持っていたのです。すなわち、嫌悪感を抱いている動物に自分が生まれ変わるかもしれないと考えれば、それを防ぐために努力をするでしょうし、大切な人が生まれ変わっているかもしれないと考えれば、憐憫の情が湧き、殺生も抑制するでしょうし、また彼らの救済を願って仏教に帰依もするでしょう。逆に、動物は可愛い、素晴らしい、生まれ変わってみたいと考えていれば、それほど仏教による救済を希求しなかったかもしれません。嫌悪するからこそ、という面があるのです。