シャーマンの型としては、中山みきなど「神が乗り移り神の言葉を人に言わせる」のは、どのような型に当てはまるのでしょうか。生き物ではなく神が乗り移っているので、憑依型ではないと思うのですが。

憑依とは、動物霊や死霊だけののりうつりを指す用語ではありません。神も含めた、何らかの霊的なものがよりつく現象、すべてが憑依です。もともと、人間によりつく神霊に、「神」だの「死者」だの「動物」だのとレベルを付けるのは、それこそ審神者の発想です。憑依された側には、そうした区別はほとんどありません。日本では、古く『日本書紀』の神功皇后、『源氏物語』の浮舟などに、憑依経験の内的世界をみることができます。また、谷川健一『神に追われて』は、現代の成巫譚を物語として収録しており、憑依がいかに苛酷な経験であるかが叙述されています。