そもそも、シャーマン=女性、女性=神霊的なものという認識は、いつ頃流布されたのでしょうか。

やはり、家父長制の成立と軌一していると思われます。中世から近世にかけて、実態的には強くなっていったはずです。研究史的には、柳田国男の「妹の力」論以来、このような見方が強固に受け継がれていき、ちょうど近代家族の成立に伴って女性への貞節・純潔要求が高まり(男性が出勤労働者となり、女性が家を守ることを期待されたために、そのイデオロギーとして貞節・純潔が強調されるのです)、処女性の価値が高くなったことと相まって、未婚の女性=シャーマンという図式が確立したものとみられます。それによって、かかる見方が、未だ家父長制の成立していない古代へも適用され、多くの問題を生じることになりました。卑弥呼に対する誤解なども、この点に原因があります。