ナショナル・ヒストリーが構築される際に、例えば公家と農民のような階層差を前提にしたとすると、農民の考え、意志のような反映されたのでしょうか?

ナショナル・ヒストリーは国民統合の歴史ですが、それは統治システムである国民国家が構築するものであって、それぞれの階層が話し合い、それぞれの意見を反映した結果として打ち出してゆくものではありません。後者はパブリック・ヒストリーと呼ばれ、ようやく近年になって本格的な議論が始まってきたものです。よって、農民の主体性に沿った歴史認識は、少なくとも明治維新によって構想されたナショナル・ヒストリーには反映されていません。