江戸時代に誕生した国学には、皇国史観と共通する考えが多いと思います。したがって、ある時期においては、国学から皇国史観への流れこそが本流であり、実証主義歴史学が例外的なものであった情況が存在したと思うのですが?

そうだと思います。西洋史の方法論に依拠した実証史学は、まさに特殊です。皇国史観の方が、前近代の考え方に近い部分があった。もちろん国家の強制は大きいですが、それでも社会の需要にある程度応える側面を持っていたからこそ、強く浸透していったのだと考えられます。