私はマルクス主義に賛成ではないのですが、1950〜60年代の国民にとって、それはどのように市民権を得ていったのでしょうか。

やはり大きな魅力のひとつは、これまで国家が喧伝してきたものの虚偽性が露わになり、抑圧されてきたものを解放するベクトルがみえたことでしょう。一般の人々が自らの生活を改善してゆくために結社を作ることも認められ、各地で労働組合の形成も進みました。そうした運動の展開を援助・誘導したのは、共産党社会党などのマルクス主義に基づく政党だったのです。今では信じられないことですが、京都府などは長く共産党帝国であり、1950年以降7期28年に及ぶ革新府政を行った蜷川虎三知事のもと、自民党と最大派閥を争う情況が続いていました。