里山が放棄されていったことについて、最近たびたび耳にする「市街地にイノシシや鹿が下りてきて暴走する」というのも、里山消失に関係するのでしょうか。

関係しますね。かつては、いわゆる野生の領域と人間の生活領域が、里山的なものによって明確に区分されていたものが、その衰退で緑が繁茂したことにより曖昧になり、野生動物の増加と里への進出を引き起こしていると考えられています。例えばイノシシやクマの里への出没を防ぐためには、山と里との境界付近の下草を刈っておく(バッファゾーンを設ける)ことが有効とされ、多くの地域で実践されています。下草がないと、イノシシやクマは自分の身を隠せないため、警戒して里に近寄らなくなると考えられています。