定住生活におけるフラストレーション、自然災害の圧力を除去するシステムとしての宗教や芸術、といった考え方は非常に興味深いのですが、逆にいえば移動民族は定住民族と比べそうした除去システムに依存する割合が少ないのでしょうか? / 定住のデメリットに病気とありましたが、遊動生活の場合は逃げるのみですが、定住の場合、病気にかかってしまうけれど、それに対する対策が生み出されるので、完全なデメリットとはいいがたいと思います。

そうですね、質問に述べられているような事象は定住社会のほうが被害が大きくなるので、それゆえに定住社会でそれを抑止するための機構が整備された、仕組みが考案されていったということです。なお病気の問題は、移動性社会においても必要な知識・技術は蓄えられてゆきます。ただし、例えばその地域に何らかの原因を持つ疫病が流行すれば、それを回避して移動すれば済むことなので、そもそも対応の必要性が高くないということです。定住社会では、簡単に居住地を捨てるわけにはゆかないので、留まって戦う方法を考えねばならない。確かに医療の発展には結びつきましたが、それは結果論であって、充分なレベルに至るまでに本当に多くの犠牲が出た、ひとつの村や町が幾つも死滅したであろうことも考慮に入れておく必要があります。