私のなかでいま、「神話」「聖書のなかの記述」「歴史」の3つが入り交じってしまっていて、どこまでが歴史でどこまでが神話なのか、判断がつかなくなってしまっています。 / 自分たちのルーツを語るものとして考えると、歴史と神話の区別が曖昧になってしまいますが、神が介在するかどうかで判断すればよいのでしょうか?

次回の授業の冒頭でも扱うつもりですが、神話/歴史の区別というのは、案外に相対的なものです。原則としては、神話は起源を示す太古の一時点と現在を直結させるもの、歴史は過去から現在に至る経過を示すものですが、同じ内容を持つものでも、それを必要とする共同体によって神話として機能させたり、別に歴史として記録しておくということもあるわけです。まずその共同体、もしくは民族なり国家なりにおいて、問題の物語りがどのように位置づけられ語られているかに注目する必要があります。