ヒボコの神宝のひとつの布(領巾)とは、夫の船出を見守る松浦佐用姫伝説にも登場しますが、昔から波などと関連づけられていたのでしょうか?

必ずしもそうではありません。日本では女性の装飾具で破邪の呪力を秘めたものとされ、古くは『古事記』神代巻におけるオホナムチの根国訪問譚で、スサノヲの試練として蛇の室、呉公・蜂の室で一晩を過ごすことになったオホナムチが、スセリビメの助けを得て、蛇の比礼、呉公の比礼などで事なきを得るエピソードが語られています。破邪すなわち主体の守護が、海洋系の文化のなかで具体化されたものが、浪振比礼・浪切比礼なのでしょう。