サルトルのアンガージュマンは文学の政治参加への呼びかけとのことですが、実存思想によって何か具体的な成果は出ているのでしょうか?

フランスはドレフュス事件以降、知識人の政治への介入が目立ちますが、サルトル自身は、第二次大戦へ召集された経験から政治への関心を強め、社会や政治の動きに相対し、進んで実践しよりよい情況を求めてゆくことに努めました。アルジェリア独立戦争では自国フランスの立場を批判し、マルクス主義に傾倒してキューバ革命などを支持、一貫して反権力の姿勢を貫き、現在に至るフランス左派の言説を構築した立役者といえます。1973年に創刊され、現在フランスの代表的日刊紙となっている『リベラシオン』も、サルトルが中心になって発刊されたものです。