この授業を取ってから、今まで自分が学んできた近代国家日本がいかに幻想にまみれていて、本当の姿からかけ離れていたかを痛感しました。探せば日本よりひどい国はあるかもしれませんが、他がひどいからよいという問題ではありません。こう考えるのは理想主義的で、現実では通用しないのでしょうか。

いえ、そんなことはありません。事実、歴史認識という意味でなら、東日本大震災より前の90〜00年代のほうが、日本の情況は現在より民主的でした。10年代、とくに東日本大震災以降、あたかも関東大震災が戦時体制を準備したことを繰り返すかのように、国権の強化と世論の右傾化が進んだのです。他の国のほうがもっと…などというのは、子供の喧嘩の台詞です。きちんと道徳的・倫理的価値観を確立し、自らのあり方を正してゆく必要があります。しかし現在のように、人々が国権の喧伝する価値観のみにアイデンティファイしている情況では、日本の歴史認識はまったく改められないでしょう。