有島武郎が遺したアイヌに関する本とは何でしょうか、教えて下さい。
未完成の絶筆となる「星座」という作品です。有島が未だ札幌農学校の学生であった1900年、友人たちと千歳川沿いを旅行し、北海道旧土人保護法のもとで苦しめられるアイヌの姿をみたことが、執筆の動機となっていたようです。保護法の立場に基づいて北海道経営を推し進めるべき農学校で、有島は、「正直にして朴敬、勇猛にして多情なるアイヌの遺民が長髯を振ふて山中の自然と勇ましき戦闘を為し、酷薄なるシャモ(彼等が日本人を指して云ふ語)の蛇の如き毒手を避け居る有様は、転た愁痛にして清新なる一篇の詩に御座候。小子は例の自然癖に不堪独り後れて呻吟しつゝ心中無限の慰藉を得て孵化場に着仕候」と、日本人に対して批判的、アイヌに対して同情的な見解を述べています。