福澤諭吉は「慰安婦制度を作った」とのことですが、詳しく教えて下さい。

「作った」というのはいいすぎで、正確には、その淵源をなす議論を行った、ということです。福澤諭吉の議論は、明治の廃娼論争に関係して世に出ました。福澤は、近世的娼婦を人間以下の生業と批判しつつも、大陸へ進出してゆく日本人男性のために、日本人女性を売春婦として利用しようという存娼派に組みします。1896年『時事新報』掲載の「人民の移住と娼婦の出稼ぎ」には、「人民の海外委嘱を奨励するに就て特に娼婦外出の必要なるを認めたればなり」と述べており、帝国の拡大のためには、その尖兵となる日本人男性の性欲処理を担う娼婦の派遣も必要だという意見で、もはや慰安婦そのものともいうべき議論を展開しているのです。