近代に近づけば近づくほど中国という国の存在感は希薄になると思うのですが、なぜ今日の授業でみたような時代には、中国との関係が大きなキーワードになるのでしょうか。これは、同じ頃の朝鮮半島の国々にもいえることなのでしょうか? 小学生の頃から歴史を習っていますが、中国は漠然と大きな存在であるのか教科書には載っておらず、大変不思議です。日本もかなり高度な文明が発展していたと思いますが、国の小ささや歴史の深さが中国より小規模だから、重要度が低いのでしょうか。

高校時代、世界史は履修しましたか。アジア世界においては、古代文明の発祥以来、政治的にも文化的にも、中華王朝が非常に大きな勢力を保持してきました。ユーラシアの東部において中華王朝に隣接する諸民族、東南アジアの一部や朝鮮半島、海を隔てた日本などは、いうなればその中華的政治・文化圏の周縁部分であり、中華との外交・交易のなかで自らの知識・技術・文化を発展させていったのです。いいかえれば、中国がなければいまの日本は存在しません。それは朝鮮の諸国も、東南アジアの国々についてもいえることです。平仮名・片仮名という文字自体、漢字の全体もしくは一部を簡略化して創り出したものですから、漢字がなければ存在しないわけです。ゆえに日本史のなかにおいても、中国が大きく扱われることは不思議でもなんでもなく、当然のことなのです。