祖先の誕生によって、〈死〉自体の考え方はどのように変わったのでしょうか?

ああ、面白い質問ですね。祖先以前の死の観念が、もし再生までの一定期間を表現するものであり、死や死者を忌避するような呪術を伴っていた点から恐怖の対象であったとすれば、一方で死はやや身近なものとなり、一方で再生までの期間や道筋には変化が生じたのではないか、と考えられます。祖先が生者と共存する死者になっていたとすれば、死や死者への恐怖はやわらいでいたはずですし、そうした祖先が存在するということは、死者はすぐには再生しないと考えられたはずだからです。仏教成立以前の古代インドでは、死者は一定期間月に存在し、生前の行いによって、再生しない神道に行く者と再生する祖道に行く者へ別れたと考えられていたようです。縄文時代の再生観にも、類似の変化が起きていたのかもしれません。