ネイティヴ・アメリカンが開拓者に渡した彼らのコミュニティーの地図では、ネイティヴの集落が円で、開拓者の集落が四角形で表されていた。彼らの視点では、自然なものが円で、人工のものが四角なのだそうだ。縄文や弥生、他の少数民族ではどうなのだろう。

円形・方形は地域や時代によってずいぶん大きな差異があります。古代中国では「天円地方」といって、天を円形、地を方形で表現しました。都城が方形なのはそのためです。縄文期はあらゆるところに円形のシンボルがみられますが、これは世界各地で生命力の象徴とみられている、渦巻文の簡略化された形かもしれません。アメリカのファースト・ピープルズにおいても、例えばダコタ族の年代記=ウィンター・カウントは、時間を螺旋状=渦巻きで表現しています。円も本当に円環を意図していたのかは、あらためて考える必要がありそうです。縄文期には、あまり方形の文様はみられませんが、弥生期以降、例えば男性を円い頭、女性を三角の頭で表現するなど、土器絵画における人物像の描き分けが始まります。そこにどのような意味が込められているかは、あらためて慎重に考えてゆかねばなりません。しかし、単純な直線を除けば、どうやら円形は根源的な意味を付された図形で、そこからさまざまなラインが派生してゆくということのようです。