近代に神道が激変した際、人々は、それを容易に受け容れることができたのでしょうか? / 天皇支配の基盤である神道に教派による争いがあったにもかかわらず、宗教紛争のような戦いが起こらなかったのが不思議だと感じました。

一番下の参考文献をみていただければ分かりますが、確かに士族反乱のような大規模な暴動はなかったものの、いつそれが起きてもおかしくない状態は持続していました。また見方を変えれば、例えば島崎藤村『夜明け前』の主人公など、平田国学に傾倒して明治維新に協力したものの、新政府のありように絶望してゆく展開になっていますので、西南戦争に至る種々の士族反乱自体が、神々の闘争を体現していたと考えることも可能でしょう。なお、廃仏毀釈とともに進行した政策に、過剰な数の神社を整理・統合してゆく神社合祀がありましたが、これには博物学者として著名な南方熊楠など、多くの知識人が異を唱え反対運動を行っています。