通説だった天皇機関説が排斥されたのは、満州事変で勢いをつけた陸軍が政治を操りやすくするため、岡田啓介に国体明徴声明を出させたからでしょうか?

天皇機関説においては、軍事における天皇大権の行使に内閣の輔弼が認定されています。軍部としてはこれを排除し、軍事における陸軍の自由度を向上させようとしたのは確かでしょう。そこで、陸軍中将でもあった貴族院議員の菊池武夫が美濃部学説への攻撃を行ったわけです。政府は学問に政治は介入しない旨の答弁を繰り返しますが、野党政友会が岡田内閣打倒のために陸軍の動きに同調し、「天皇への不敬」という根拠のない世論を醸成してゆくのです。