日本ではなぜ天皇制が支配的となり、民衆による革命が起こらなかったのでしょうか。

いわゆる革命が必然的か、ということについては、ぼく自身は否定的です。天皇制についても、そもそも近世までの政治・社会において、天皇の存在は打倒しなければいけないほど抑圧的、かつ絶対的な権力だったのか疑問です。近代天皇制は、天皇自身や皇室関係者の基本的人権を否定するものですので、個人的な見解としては、国家の制度としてはなくしてしまったほうがいいだろうとは思います。しかし現在の象徴天皇制は、やはり民衆の革命によって打倒すべきものなのだろうか、方法論の点でやはり疑問があります。民衆の力については、もともと、1970年代までの日本社会は庶民の爆発的エネルギーを持っていたのが、政府や警察の巧妙な施策、運動を孤立させる世論操作によって、骨抜きにされてしまったと考えています。その結果、例えば中国の庶民が持つ生きる力の凄まじさや、ときにはナショナリズムとしても発動する韓国の民主化運動のエネルギーなどを、「先進国としての品位がない」などというヘイトで片付けてしまうようになった。同時に、政治アレルギーが広汎に浸潤していて、政治に対する無関心を醸成している。世界中でも有数の、国家に利用されやすい国民になってしまっていると思います。何をされても文句をいわず、文句をいうひとをよってたかって叩くような…。