K氏の見解の引用で、仏教が入ってすぐに神仏習合の思想ができたというところでは、その当時は仏教が主なものと思っていたので、かなり違和感がありました。
これは高校までの日本史で習うと思うのですが、神仏習合が始まった7〜8世紀は、必ずしも仏教が主流ではありません。古墳時代から継続してきた神祇信仰があり、古代国家の政策や仏教の影響を受けて勢力を拡大しています。例えば、神祭りの場は本来臨時に設営されるものでしたが、この頃、仏教建築の影響を受けて、神の住まう場所、あるいは神を礼拝する場所としての社殿が設置されてゆきます。祭祀のあり方、神祭りを行う職能や組織なども、6〜8世紀にかけて作られてゆきますので、伝統/革新を内在しながら、社会に大きな力を持っていたと思われます。逆に仏教の信仰は社会の上層に止まっており、畿内など一部の先進地域を除いて、一般社会においては充分に理解されていなかったと考えられます。