もしアイヌが松前藩に服従していなかったら、現代まで独立国家として残っていることができましたか?

アイヌが国家化しえたのかということは、現代学界において盛んに議論されていることのひとつです。近世に入る段階では特徴的な首長制社会に到達していたわけですが、この情況を「すぐにでも国家になりえた」と表現する研究者もいるようです。しかし、クナシリ・メナシの戦いにおける地域首長=長人たちの動向をみていると、必ずしも、共同体社会に強固な統率力を発揮していたわけではないようです。彼らはやはり、「卓越した権力者を生みだし、社会全体を階級化してゆく」ことを選択しなかったのではないでしょうか。