クナシリ・メナシの戦いについて、松前藩は飛騨屋と折り合いが悪かったのに、なぜアイヌが彼らを襲撃した際に鎮撫軍を送り、欺してまで処刑したのでしょうか。

松前藩は、これまでのシャクシャインの戦い、豊臣・徳川による朱印状・黒印状を背景にしての恫喝でもみてきたとおり、アイヌと交渉する和人の代表としての立場を持っています。いくら折り合いの悪かった飛騨屋とはいえ、和人がアイヌによって殺害されるという事態は、松前藩の権威を正面から否定することに繋がります。また、結局は幕府によって否定されてしまいますが、場所請負制を維持して安定的な財源を確保するためには、和人商人が安心して事業を運営できる情況を作っておかねばなりません。その意味でも、武装蜂起の種を根絶する必要は強くあったのだと考えられます。