2007-10-24から1日間の記事一覧

サンとはどういう存在なのでしょう。彼女は自然の代弁者ではないと思うのですが……/サンは完全に二者択一の一方、自然的価値観(神々との一体化)を選んでいるといえるのでしょうか。

(書きかけ)

猪神の長老乙事主は、海を渡ってきたように描かれていたかと思います。昔の日本には、外来の神々をも受け入れる素地があったのでしょうか。

それは明らかに存在しました。いわゆる神道的な神のなかにも、古代に大陸や半島から渡ってきて日本で祀られるようになった神がたくさんいます。神仏習合が前提となっている中世・近世世界では、その傾向はさらに顕著で、西域やインドを出自とする神様も多く…

生命を循環させるシシ神自身の生命はどのように捉えたらいいのでしょう。/「シシ神は死なないよ、命そのものだから」というラストのアシタカのセリフは、講義の趣旨からするとどのように捉えられるでしょう。

宮崎駿の設定では、シシ神は下級の神格であるということです。そのためか、植物や動物の生命を循環させる役割は担っていても、気象を操るとか、自然界全体を象徴する存在としては造形されていません。例えば日本の縄文時代には、人々は自然を死/再生の循環…

祟り神になるのは猪神だけなのだろうか。また、なぜあれほど人間に憎悪をたぎらせていた普通の猪たちは、祟り神にならなかったのだろうか。

論理的には、猪神だけでなく、同じ階層に属する犬神や猩々たち、そして人間も祟り神化しうるはずです。物語のなかで猪神が多く祟り神化するのは、〈猪突猛進〉という言葉どおり、彼らが直情径行の生き物として設定されているからでしょう。つまり、憤怒や憎…

『もののけ姫』のラストシーンをハッピーエンドと捉えてしまうのは、アニミズム的心性に規制されているからだというお話でしたが、それでは海外ではどのような評価があったのでしょうか。

ご存知のように、『もののけ姫』はディズニーの配給によって海外でも公開されました。残念ながら、その詳細な情況はちゃんと把握していないのですが、自然と人間との戦いの構図は、ヨーロッパなどでの方がすんなりと受け入れられたと語るインタビューを観た…