2008-06-23から1日間の記事一覧

史実ではなかったという崇仏論争を、教科書が事実として書いているのはなぜですか。

教科書は、もはや定説として動かないであろう学説を分かりやすく記述するので、学界の水準からすると10〜20年遅れています。崇仏論争の件は、ぼくと数人の学者が見出した最新の学説なので、学界では反対意見は出ていないものの(近年、『書紀』に対する史料…

中臣鎌足の伝記の「カデン」とは、どんな漢字を書くのでしょう。

「家伝」です。詳しくは、歴史学研究入門の課題にあがっていた『歴史家の散歩道』を参照してください。

四天王について詳しく知りたいのですが。

四天王は、仏教に帰依した天部という神々で、須弥山にあって東西南北の四方を守護していました。東を守護する持国天、南を守護する増長天、西を守護する広目天、北を守護する多聞天からなります。最後の多聞天は、仏像の配置としては東北に置かれることから…

ドラマ『聖徳太子』で、物部守屋が弩で射殺されていました。当時から弩は存在したのでしょうか。

弩は弥生時代から存在したことが知られ、律令軍制にも規定されています。しかし、6〜7世紀の段階ではそれほど一般的な武器ではなかったでしょう。ドラマで弩を使っていた人物は新羅からの渡来人という設定で、その先進的技術と仏教の知識を通じて太子に奉…

当時の話し言葉は、現代の日本語と大差なかったのでしょうか。

発音からしても異なります。具体的な話し方には不明の点が多いのですが、奈良期以前の音韻はより朝鮮半島のそれに近く、現在の我々が発音できなくなってしまっている音も多く含まれていたと考えられています。

奈良時代以前、天皇には顔を隠す習慣がなかったのでしょうか。

天皇が御簾の向こう側に隠れるようになるのは、政治的実権を摂関に移譲し神聖不可侵の地位となってゆく平安以降とみられています。

ドラマ『聖徳太子』で、古代人のしていたメイクが興味深かったです。赤や白の顔料はどのようなものなのでしょう。 / 赤には魔除けの意味があるとのことですが、名前はあるのでしょうか。また、赤以外にも特別な意味を持つ色はありますか。

例えば赤色は、酸化鉄系のベンガラ(いわゆる朱。弁柄。インドのベンガル地方の原産なのでこう呼称されるという)、硫化水銀系の辰砂(いわゆる丹。中国の辰州原産)に二分されます。いずれも、石器時代より破邪の顔料として用いられ、墳墓などには濃厚な施…

ドラマ『大化改新』の衣装は、冠位十二階に基づいて作られているのでしょうか。また、何を資料として復原されているのでしょう。 / 紫が最高位の色ならば、入鹿ではなく天皇が身に付けているべきではないでしょうか。

ドラマの衣装復原は、冠位十二階の制度を基本に、高松塚古墳の壁画、藤ノ木古墳出土の装飾具などから創造的に復原されています。入鹿の紫衣・紫冠は大臣の身に付ける衣装で、冠位十二階のに含まれない特別な礼冠・衣服です〔若月義小『冠位制の成立と官人組…

ドラマをみていて気になったのですが、古代の建物にはどの程度屋根が付いていたのでしょう。

基本的に、板葺き、檜皮葺、茅葺きの屋根は存在しました。ドラマで描かれていた露天の広場=朝庭は祭祀・儀礼の場で、そうした空間は神が降りてきやすいように、また天のもとに明らかなように屋外に設定されるのが普通なのです。