2011-04-18から1日間の記事一覧

今日のお話に関連して、時間がないなかで簡単に読めて、面白い本はありますか。

歴史教育と歴史研究の関係という面では、山田朗編『歴史教育と歴史研究をつなぐ』(岩波ブックレット712、2007年)がおすすめです。わずか60ページ余りのなかに、問題点が集約されていて至便です。

「涙の歴史」について関心があります。時代によって感覚が変わるということが、どのように分かるのでしょうか。

心性史や感性史の実証性は、どれだけ多様な史料(文学作品から行政文書まで)をどれだけ大量に集めて分析したか、によって決まります。例えば涙についていえば、それらの史料について、涙を流す場・要因、主体の生別・年齢・階層・教育水準など、様々な要因…

具体的にいつ、「一国史からの脱却」が起こったのですか。

80〜90年代が画期であると思います。もともとマルクス主義歴史学には、一国の歴史を世界の枠組みのなかで捉えるという発想がありました。実証主義歴史学も、その母体にドイツやフランスの歴史学、江戸期以来の漢学の流れを持っていましたので、国際的な視野…

私が以前読んだ本には、歴史実証主義と歴史相対主義とが説明されていました。今日のお話のなかにでてきた、多様性や多層性を追求する歴史学は、相対主義と同じものでしょうか。

重複する主張はありますが、完全にイコールではありません。まず歴史相対主義は、歴史とは相対的なものと考える立場なので、事実や真理をめぐる議論は一切意味を持たないことになります。例えば、アウシュヴィッツを虚偽と切り捨てるような歴史修正主義の立…

教職をとっているので、学界と教育の現場におけるギャップに考えさせられました。教科書の叙述が「科学的」という点について、もう少し詳しく知りたいです。作為的と同じ意味でしょうか。

教科書の記述には主に次のような特徴があります。1)概ね推論的ではなく断定的である。2)「○○は××のように云っている」「私は○○と考える」のように、叙述に主体が設定されていない。3)無記名である。このようなスタイルによって、教科書の記載は確定さ…