2007-12-19から1日間の記事一覧

冬休み中に樹霊婚姻について勉強しておきたいので、参考文献を紹介してください。

やや専門的ですが、以下が主なものです。基本的な視角は1・2で、より広く事例を学ぶためには3を、木鎮めも踏まえて物語の意味を考えてみるなら4を読んでみるのがいいでしょう。1)中村誠 1974 「樹木信仰と文芸―『三十三間堂棟由来』を中心に―」『國學院大學…

治水と樹木にどのような関係があるのか、よく分かりませんでした。

山間部では、山の木を伐り過ぎるとその保水力が低下し、鉄砲水が起こりやすくなるので、「木を伐ると洪水が起きる」との俚諺や伝承が生じることになります。中国の場合は、講義でも扱いましたが、伐採が農耕開発に結びつくことから、樹木を雨神や水神と同様…

五行説についてですが、木火土金水のなかで木だけが生物です。なぜ生物である木が元素に含まれているのでしょう。また、この五つの要素によって、人間はどのように説明されるのでしょう。身体が土であれば、キリスト教と通じるところがあって面白いと思うのですが。

五行のうち、木は生命を象徴する元素なのです。人間は五行によっては単純に何の要素と分類されず、内臓や身体の各部位がそれぞれ五行で表されます。ちなみに、『古事記』や『日本書紀』の天地開闢神話でも、人間の体は土(厳密には泥)から派生したことにな…

史料7で、なぜ始皇帝は湘山の神が娥皇と知ってなぜ激怒したのでしょうか。彼には祟りを恐れる気持ちはなかったのでしょうか。

戦国時代までの中国においては、人間がなることのできる最高位は〈王〉であり、〈帝〉は神でした。始皇帝は戦国の王たちを尽く滅ぼし、初めて全土を統一したので、人間以上の神に等しいものとして〈始皇帝〉を名乗ったのです。娥皇は尭の娘で舜の妻ですが、…

巴蜀地域には世界樹の信仰があったそうですが、当時の中国でそうした信仰があったのはこの地域だけですか。

『捜神記』で秦文公に伐採されてしまう梓も神樹であったわけで、必ずしも、樹木信仰が巴蜀地方にしか存在しなかったということではありません。しかし、華陽地域の神話に由来する『山海経』が多くの神樹を載せていることからしても、周辺より強かったことは…

なぜ囚人の服に赤が採用されているのでしょう。

私も明確な答えを持っているわけではありませんが、赤は血の色であるために生命力を象徴し、その点から避邪の機能も期待されてゆきました。また、赤色顔料としての水銀丹は、消毒・解毒の作用を持つ薬品であるとも考えられてきました。囚人の服は、その罪業…

髪型がその人の気をコントロールしていたとのことですが、徳や身分の高い人が付けていた冠や帽子は、気を閉じ込めるものだったのですか。

閉じ込めるというより、コントロールして隠しておくことが、成人男性の礼儀であったと考えるべきでしょう。生命力の溢れ出す頭髪を露出していることは、裸で往来に出ることと変わらなかったのだと考えられます。

ざんばら髪は生命エネルギーの放出状態であるとのことですが、同じことは日本でもいえるのでしょうか。

それを明記した文献は寡聞にして知りませんが、やはり中国に由来する宮廷儀礼で節分の原型である追儺式では、疫病を都城から追い出す役目をする方相氏が、ざんばら髪・四つ目の奇怪な姿で表されていました。