2019-10-23から1日間の記事一覧

マルクス主義的な歴史観が1989年頃まで長く日本に影響を与えていたという話があったけれど、1989年以前の論文などには、同歴史学の影響を受けたものが多くあるのでしょうか。また、そのような論文をどう扱ってゆけばよいのでしょうか。

もちろん、多くあります。例えば、日本史研究で最も「権威のある」概説講座ものの『岩波講座日本歴史』、1960年代版を紐解いてください。マルクス主義歴史学の用語・概念で埋め尽くされ、なかなか読み進めることも難しいのではないでしょうか。しかし、問題…

自国の文化を純粋なものと誤認しがちな日本人の国民性は、いつ・なぜ生まれ、今なお目立って存在するのでしょうか。

古代からエスノセントリズム的なものは、必ず何らかの形で存在はしたのですが、その表現形式は、多く外来のものから成り立っていました。例えば、朝鮮半島を諸蕃、東北の辺境民を蝦夷、南方のそれを隼人と位置づけるような日本的中華思想は、もちろん中国王…

最近、オオクニヌシ、アマテラスなど日本の神話における神々をエンタメ化し、ゲームの一部にするのが流行のようです。これに限らず、歴史を表層的に抽出してエンタメ化することに、私は反対です。歴史の本質を読み解く阻害になりかねないからです。

誠実な考え方だと思います。しかし、描き方に問題は種々あるでしょうが、ぼくはそれが、信仰を有する人たちを冒瀆するものであったり、社会的弱者を抑圧するものでない限り、強く反対はしません。なぜなら、前回お話ししたアマテラスのように、時代のあり方…

スサノオのヤマタノオロチ退治は、一体何を意味するものだったのだろうか。 / 『古事記』でアマテラスの弟、スサノオにスポットが当てられたのはなぜですか。

スサノオの神格の意味、起源については複雑で、諸説がありますが、台風や疫病などの災害を表象する神で、朝鮮半島や列島の日本海側にオリジンを持つ存在であったようです。『古事記』はそのスサノオを、アマテラスの弟に設定し、最終的に地上(豊葦原中津国…

江戸時代、伊勢神宮に参拝していた人々は、アマテラスを信仰していたと考えていいのでしょうか。 / 近世以前、日本は多神教という概念はなく、一神教の人が多かったのではないでしょうか。。 / 

近世以前において、基本的に列島社会の信仰のあり方は、当たり前のことながら多神教的です(逆になぜ、「一神教が多い」と思ったのでしょうか?)。授業でもお話ししたように、神仏習合が一般的な状態でしたので、種々の神社仏閣に、たくさんの多様な神仏が…