2019-11-13から1日間の記事一覧

授業の最初で神道政治連盟について話をされていましたが、男女共同参画に反対しているなど、現代的価値観からすると明らかにおかしいのに、誰も話題にしないのはなぜですか。

いえいえ、日本会議や神道政治連盟については、批判的に扱った書物もありますし、新聞記事やtwitterの書き込みも少なくありません。テレビでもときどき言及されていますが、テレビはとくに「本質的な政権批判がほぼできない」状態なので、一般に共有されにく…

理論を学ぶということは、論理学を勉強するということなのでしょうか?

必ずしもそうではありません。史料の読解を通じてある歴史像を組み上げようとするとき、あなたならどうするでしょうか。いくらたくさんの史料を読んだとしても、そこから社会の仕組み、その時代ごとの相違などを、復元することができますか? たいていの人に…

ゴジラが国会議事堂を壊したときに拍手が起こったと仰っていましたが、戦争が終わった1945年から10年ほどで、国民の考え方が尊皇から正反対に変わってしまったのでしょうか。

国会議事堂は、あくまで戦争を遂行した政府の象徴であって、天皇を象徴していたわけではありません。日本国民の多くは政府に対して憎悪を抱いていても、天皇に対しては別の見方をしていたと思います。それは、戦後昭和天皇が列島各地を旅して回った際、人び…

『ゴジラ』の解釈が取り上げられましたが、映画が、当時の社会風潮であったり、政治背景を反映しているといえるのでしょうか? 映画を研究の素材とすることに、疑問を持ちました。

映画は総合芸術ですので、その製作にはたくさんの専門家が関与します。作家、脚本家、音楽家、美術家、カメラマン、演出家、そして俳優たち。製作会社や配給会社、その映画が売れる、あるいは価値があると判断して資金や資材、あるいは人材を出すスポンサー…

授業の冒頭で言及されていた象徴権力ですが、貰った側が恩義に感じない場合も発生するのでしょうか?

象徴権力の発現の仕方は、ご指摘のように多様性があり、どんな場合にも同じ状態で作用するというわけではありません。確かに、相手が恩義を感じないことで、発動しない場合もありうるでしょう。しかし、こうした行為が社会のなかでなされることを考えると、…

アナール学派の「問題史」「全体史」が、いまひとつよく分かりませんでした。紀伝体と同じようなものでしょうか?

紀伝体は、中国正史に基づく叙述形式ですね。「紀」が歴代の王・皇帝の生涯を時間軸に、治世の出来事を年代順に記してゆくもの、「伝」が王朝に貢献した士大夫たちの伝記です。「問題史」は、あるテーマを設定しそこから歴史を捉えてゆく叙述形式で、通史と…