2010-06-18から1日間の記事一覧

中国でのトーテミズム研究の現状を教えてください。

とにかく少数民族の文化に多くの事例が残っているので、研究自体は大変に盛んです。しかし個人的に気になっているのは、講義でもお話ししましたが、やはり想像上の動物を始祖とする信仰をトーテムとみなせるか、という点です。確かに始祖として崇めていた動…

大本教の教祖母子の関係は、邪馬台国の卑弥呼と弟王との関係に似ていると思うのですが。また、これらの新興宗教は現在のスピリチュアル・ブーム(『オーラの泉』など)とは何が違うのでしょう。

女性が神霊を憑依させて託宣を下すシャーマンとなり、男性がその神語りを通訳する「審神者」の役割を果たすというのが、アジアのみならず汎世界的に存在する宗教者の一形態です。大本教や天理教の場合も同じ形式を採っていますし、近世以前の民衆宗教の形態…

『山海経』で描かれている周辺世界には鳳凰らしきものもいるようですが、それは周辺を必ずしも野蛮視せず、信仰の対象ともしていたということでしょうか?

確かに、龍や鳳凰などは神的な動物とされていながら、中原からみた周辺世界に住むとされていました。しかしそれは、人里離れた深山幽谷の清浄な地に住むという意味で、周辺世界の差別化とは少々別レベルの意味づけだったのでしょう。ただし、前近代の分類と…

『遠野物語』で、行方不明となった女性の葬式をするとき、なぜ枕が形代とされたのでしょうか。

人間は睡眠中に夢をみますが、古代中国などでは、枕のなかに異界が開けている、枕が異界への入り口であるとの認識もあったようです。とりあえず、近現代的な認識を超えた「境界的存在」ではあったようですね。また、人間の霊魂は頭に宿ると考えられていまし…

毛衣が、なぜ羽衣に変わってしまうのか気になりました。

この変化には、恐らく仏教の天界のイメージや、神仙思想や道教の仙界のイメージが関わってくると思われます。そこでは、天人や天女、仙人や仙女たちが、軽やかな衣を纏って天空を飛び交っているわけです。とくに神仙境については、漢代以降に具体化され、六…

『捜神記』の山人が、女を攫って子供を産ませるのに、それを返してしまうのは何故なのでしょう。

これも憶測に過ぎませんが、モデルとなった少数民族の母系社会を反映しているのだ、とみることもできます。生まれた子供は母方の家で養育させる、という発想ですね。この猳国がいかなる実態を持つのかは不明ですが、外婚のみでなく内婚もあったのだと考えれ…

『捜神記』などで異人が怪物として扱われていましたが、これは日本の妖怪である山姥などとは違うものなのでしょうか。

山姥には、縄文期からある程度の信仰が確認できる「大地母神」のイメージが残存している、という考え方があります。確かに、図像的には乳房が強調されており土偶を連想させるところもありますし、金太郎伝説をはじめ子供を育てるエピソードが多いのも重要で…