蘇我石川麻呂の本拠とされる石川郡ですが、地図上ではずいぶん内陸にある印象を受けました。交通の便や交易の面では、海に面していた方がよいと思うのですが、なぜ内陸なのでしょうか。

そうですねえ。石川郡は、葛城金剛山系の西麓に当たり、この山を挟んで大和国葛城郡と接しています。北方には丹比道、南方には葛上斜行道路が通っていて、山を越えれば大和国、とくに蘇我氏の原郷ともいうべき葛城の地に接触できるのですね。講義でもお話ししたように、葛城は、かつて大陸・半島の先進的文物の通り道であり、それをもとに葛城氏が大きく発展した地でした。石川郡は、それらとの関連において、蘇我氏の本拠の一つとして成立した地域と思われます。