嵯峨天皇が、母親の身分の低い親王・内親王に、源氏を賜り臣籍降下したのはなぜですか。 / 臣籍降下して貰った源氏と、『源氏物語』の源氏は、何か関係があるのですか。

いわゆる皇親とは、親王内親王以下四世以上の諸王を指します。彼らには、その位階や官職に応じて食封などの禄が授けられたほか、春秋の時服料なども支給されるなど優遇措置がありました。しかし、五世以下になると皇親とは認められず、六世以下は王号を名乗れないものとされました。奈良時代後半以降には、皇族のうち上位の位階・官職に進める者は非常に限定され始めたため、早くに臣籍降下し安定的な収入を確保しようとする者も出始めています。国家としても多くの皇親を抱え込むことは財政負担となったため、臣籍降下は望ましいものでした。授業でもお話ししたとおり、桓武や嵯峨は政権の安定のために多くの貴族と姻戚関係を結び、たくさんの皇子・皇女を儲けていたので、上記のような理由から続々と平氏賜姓、源氏賜姓などが行われ臣籍降下が実行されたのです。