格と式の違いがよく分かりません。

講義でも触れましたし、日本史・世界史とも一応は高校で習っているはずですが(世界史では中国史に出て来ます)、もう一度説明しておきましょう。格は律令の補足・修正法で、時代情況に合わせ、令の規定の足りないところを補ったり、令意を変更したりする法令です。例えば、奈良時代半ばに制定される墾田永年私財法は、律令の基本である公地公民路線を一部修正し、新たに開発した田の私有を認めるものです。また実は、墾田に関する規定は、もともとの律令のなかにきちんと規定されていませんでした。ゆえに私財法は、まさに、律令の令意を変更し欠を補う「格」であったといえます。
 一方の式は、令の施行細則です。簡略な令の規定を実効するためには、細部にわたる様々な取り決めが必要です。やはり祭祀で説明するのがいちばん分かりやすいですが、令では、年中行事として国家が行う祭祀について、名前と執行時期くらいしか規定がありません。これを実行するうえで、どのような次第で行うか、祭料や供物として何が必要で何を財源に調達するか、祝詞はどのような内容のものかなど、細部にわたって規定しているのが式なのです。