律令は法家思想と儒家思想の融合からなっていますが、法律を支える思想、倫理・道徳自体は儒教のものです。よって、条文のあらゆる点に儒教の発想をみてとれます。位階について定めた官位令、位階や場所、儀式などに応じて服装を定めた衣服令、故人との関係や位階に応じて喪葬のあり方を定めた喪葬令など、枚挙に遑がありません。講義でも扱いましたが、礼について定めた儀制令なども代表的篇目です。しかし、国家を治めるために特定の儒学学派を採用したわけではなく律令を導入したのであって、特別に影響を与えた儒学者は存在しません。しかし、儒教経典を学ぶうえでは、やはり孔安国や鄭玄などの施注は重視されています。