煩悩にまみれると、仏と世界が別々のものにみえてしまうと言っていたが、仏と世界が同一にみえるとはどういうことなのだろう。

つまり、我々があらゆるものを分節、区別して把握していること、例えば動物/植物/人間/無生物といったカテゴライズなどは、すべて浅はかな知識によって仮構されるものに過ぎない。それゆえに、その区別を通じて種々の排除や疎外が起き、軋轢が生じ、ときには諍い、戦争にまで発展してしまう。真実の世界にはそのような区別など存在せず、あらゆるものが仏の慈悲・救済のなかにあって一体化しているのだ、という見方です。聖徳太子が重視したという「世間虚仮、唯仏是真」なども、このことを表現する文言です。