「日本」の天皇制が何年続いたかの始点は、国号「日本」の宣言からでしょうか。それとも、神武天皇からですか?

学術的に考えた場合、天皇号が出現するのは天武・持統朝と考えられていますので、一般的にはこの頃、あるいは遡っても推古朝あたりを始点にするのが普通です。帝国日本の時代は、『日本書紀』を聖典としていましたので、その記述に従って神武即位を起源に定めました。神武天皇を祀る橿原神宮は、明治23年(1890)に創祀。昭和15年(1940)の紀元2600年祭も、この「聖地」があったことによって具体的に実現されえたわけです。しかし、授業でもお話ししたように、継体前後までは恐らくヤマト王権の王統は一定しておらず、雄略より前の系譜には粉飾・捏造が多いと考えられます。万世一系という考え自体がナンセンスです。