2014-06-20から1日間の記事一覧
『旧約聖書』創世記に収められたノアの洪水の伝承は、当初からユダヤ民族が持ち運んでいたわけではなく、西アジア発生であるとするのが通説です。すなわち、チグリス・ユーフラテスの洪水地域から発生した洪水神話が、ユダヤ民族に受け入れられたということ…
日本の陰陽道も含めて理解できるという意味では、鈴木一馨『陰陽道―呪術と鬼神の世界―』(講談社選書メチエ、2002年)がおすすめです。
流行している童謡を民衆がどのように受け取るか、という態度は千差万別であっただろうと思います。実際はそれを分析的に解釈できるのは、史官や陰陽家などの高度な知識を持った人々で、民衆の側で主体的に判断するということは少なかったかもしれません。民…
指摘のとおり、鶏か犬かという区別はあまり意味を持たずに、「この種」の動物が犠牲に供されるという点が重要だったのでしょう。注意したいのは、鶏も犬も一面神聖視されていながら特別な存在ではなく、祭祀の犠牲としても下位ランクであったということです…
面白いですね。確かに鏡に映った世界を他界、もしくは他界への入口とみる発想は、西洋の民話・伝説やファンタジーなどでよく見受けられます。しかし、中国や日本では、あまり明確に対象化されないのも確かです。『抱朴子』跋渉篇では、山中の精霊や怪物と対…
虎に対するマイナスのイメージは、虎害に苦しむ漢民族が意図的に作っていったものですね。実際に山中生活を行い、虎と共存していた少数民族には虎トーテムが濃厚に存在し、その強さや頭の良さを信仰しています。また、僧侶が山中修行をするようになった六朝…
『捜神記』に限らず、神話・伝説・昔話の類に出てくる動物には、生態系的序列はさほど反映されません。ただし、人間からみて注目すべき動物がピックアップされることは確かです。例えば、縄文の狩猟採集文化から存在したのではないかと推測される〈動物の主…
確かに、虎トーテムには虎との異類婚姻譚、熊トーテムには熊との異類婚姻譚が多く残っています。どちらが男でどちらが女か、という差異は父系/母系/双系のなかで変化しますが、概ね虎にしても熊にしても、婚姻を結ぶときは人間の姿になっている点が注意さ…
縄文人の話は完全にデマでしょうが、そういう話がまことしやかに語られること自体、平地民優勢イデオロギーが、我々を強く支配していることは確かです。これは、稲を税として選択した国家、歴代の王権・政権によって都合の良いように構築された幻想に過ぎま…
柳田国男は山人のあり方に希望を託していたことは確かですが、その表象に限界を抱えていたことも否定できません。すなわち、オリエンタリズムですね。ヨーロッパはオリエントに憧憬を持っていましたが、その表象自体が差別的であった。それと同じことです。
ちょっと説明がうまく伝わっていなかったようです。恐らく宋代には『捜神記』の原本的構成が散佚してしまっており、『法苑珠林』『初学記』その他の類書に引用されている逸文、その他『捜神記』に収録されていたと伝わるものを収集して、再構成したのが現行…
中国でも、各民族・各地域、時代や社会情況によってもさまざまな相違があります。それは、キリスト教文化においても同様なのです。まず、自然との関係でキリスト教批判をする人々は、一様に「創世記」の一節を口にしますが、全時代・全地域のヨーロッパ文化…