2017-04-14から1日間の記事一覧

性的マイノリティであったかもしれない(ありうる)自分について考えると、そうした差別を受けている人たちに対して申し訳ないと思ってしまう。しかしそれは自己陶酔であって、逆に性的マイノリティを傷つけるものだ、とネットでいわれたことがあり、引っかかっています。共感と自己陶酔とは何なのでしょう。

難しい問題ですね。ネット上でのその指摘は、あなたが抱いた「申し訳なさ」が、性的マイノリティーへの卑下に重なるのではないか、という危惧だったと思えます。確かに、今回お話しした「サバルタンは語ることができるか」という問題のように、ある言葉なり…

私の地元では、障がい者施設や関係の学園があり、小学校では同和教育、「人権を考える会」などの教育も繰り返し行われました。しかし、東京の大学に入って、周囲の友人に「同和」という言葉さえ知らないといわれ、とても驚いた記憶があります。関東では同和教育は行われていないのか不思議なのですが、何か理由があるのでしょうか。

確かに、東日本においては、西日本におけるような形での同和教育は行われていません。これは、一般的に後者のほうが、部落差別が苛酷であったことに由来すると考えられています。歴史的に被差別部落があり、地域の教育者の意識や関心の高いところでは、同じ…

今日の講義で、マジョリティのマイノリティに対する弱者排斥の意見が再び高まってきている、という話が出ました。それは具体的に、どのような身体的、文化的特徴を持った人々の意見なのでしょうか。

昨年の、相模原障がい者施設殺害事件を挙げれば、充分ではないでしょうか。「障がい者は役に立たないから、殺害するのが社会や家族のためだ」という犯人の主張に、ネットで賛同を表明する人も多く出ました。現在豊洲問題で逃げ回っている石原慎太郎など、「…

現代を生きるわれわれがアジア等に対し謝罪したところで、彼らは許してくれ、本当に友好的になるのだろうか。

難しいかもしれませんが、倫理的に筋を通しておく必要はあるでしょう。また、現在のアジア諸国間における歴史認識をめぐる険悪さは、それぞれの国々が政治的意図に基づいて扇動している面もあります。われわれとしては、アジア内で協力しあうべき一市民とし…

連累という概念にはある程度納得できた。他の国、とくにWW2における戦勝国などは、どのような戦後補償を行っているのか知りたい。

例えば、戦時中の日系人に対する差別的扱い、強制収容問題などが分かりやすいでしょう。一番の戦勝国であるアメリカは、1990年以降、大統領の謝罪の手紙を付け、個々の日系人に対し20000ドル(当時、約200万円程度)を支払っています。これは、現在どこに住…

アメリカの核廃棄物交渉局の先住民へのスタンスには驚いた。アメリカの先住民は長い間迫害されてきましたが、インディアン・カジノなどで優遇されているところもあります。現在のアメリカ政府は、先住民に対しどのような態度で臨んでいるのでしょうか。

2007年、国連で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択され、主に近代以降の帝国主義や植民地主義を通じて侵害されてきた先住民族の権利を回復し、維持してゆくための姿勢が加盟国へ要請されました。この採択に反対したのが、やはり国内に多くの先住…

言葉にすると誤解や偏見に囚われてしまいかねないのですが、東日本大震災関連の問題を筆頭に、マイノリティーや差別の問題は、ひとが「被害者」「加害者」「第三者」に分配されていると思います。「加害者」は「被害者」の苦しみを直視することが求められ、だからこそ「第三者」が「被害者」「加害者」のグレーゾーンに触れようとすると、アイデンティティの侵害とみなされる気がします。

「何も知らないやつが口を出すんじゃない」ということでしょうか。確かに、そういう現実はありますね。しかし、例えばいじめの問題でよくいわれるように、ある差別が現実化しているコミュニティーには、第三者は存在しません。被害を受けているひと以外は、…

私は東北出身ですが、今日の話を聞いて、あらためて「差別されてきたのだ」と自覚しました。自覚していない(あるいは、自分で無視している)差別とは、問題としてあるのでしょうか。

例えば、「東北は抑圧されてきた」という言説も、多様性な歴史・現状を持つ地域を一括りに論じる暴力性を持っています。東北のなかでも、抑圧の強い地域、少ない地域は存在するでしょうし、東北内部における差別問題もあるでしょう。被害を受けている人々が…

東日本大震災から、東北植民地論なる言説がまことしやかに囁かれているが、「裏日本」や「山陰」なる言葉があるように、日本の地方は少なからず大都市圏の「植民地」となるのではないか。東北だけを取り上げる現状には疑問を覚える。

まず、地方が大都市圏の「食いもの」にされているという情況は、以前から社会学などで指摘され、その偏重をどう是正するかという議論は、1980年代以降脈々と続けられているので、東北だけが取り上げられているのではありません。また、「裏日本」は差別的表…

ブラック企業におけるブラックの使い方が差別的であるというのは、確かだと思います。必要以上に喧伝されているのも確かでしょう。しかし、だからこそ反抗する術を持たなかった人々にスポットが当たり、是正の途上にあるのも確かだと思います。先生ならば、企業のいいなりになっているような弱者をどのように扱いますか?

質問の意図はよく分かるのですが、まず、「だからこそ」というあたりが引っかかります。劣悪な環境で若者を働かせる会社の実態が世間の知るところとなり、是正の動きが始まったのは、「ブラック企業」というネーミングのおかげなのでしょうか。確かに、社会…

ブラック企業という云い方が差別語だというのは、考えすぎではないか。また、黒という色彩を否定的にみるような日本文化の伝統と、関係があるのではないか。

ブラック企業という言葉の「ブラック」は、そもそもネット・スラングです。ネット・スラングには英米圏で使用されたものが日本へ転用される場合が多く、「黒企業」ではなく「ブラック企業」と表現されている点も、そのあたりの事情を反映していると考えられ…

差別や排除が問題であることには異論はないし、公共の責任や義務についてもきちんと考えてゆきたい。しかし、差別や排除はある意味で仕方がないことであるとも思う。異なる存在を無条件で受け容れるほうが難しい。それを理解したうえで、差別や排除を考えるのが重要。

現実をしっかりと見据えてゆかなければいけない、差別の問題をなくすのは簡単なことではない、という意味ではそのとおりですね。しっかりした、冷静な質問であり、意見表明であると思います。しかし同時に、「仕方のないこと」と考えているだけでは、何ごと…