鹿が家畜とされなかった理由は何なのでしょうか。骨卜に使っていたとすれば家畜化する理由はあったと思うのですが、単に難しかったからでしょうか?

確かに、日本でも鹿は代表的な狩猟対象であり、家畜化はされていませんね。ただし、東大寺境内の鹿などはほとんど家畜といってもよいような状態なので、生態的特性により家畜化できなかったというわけではないと思います。やはり自然を象徴するような位置づけ、狩猟対象としての方が相応しいとする心性が、古代から連綿となされてきたのでしょう。日本列島の熱卜文化は、近世まで野生の動物を獲得して行われてきましたので、神霊の意志は自然のものに表れるという認識が存在したものと考えられます(まあ、日本列島では牧畜自体が発達しなかったわけですが…)。