尸解仙の史料が、キリストの復活に似ているように感じます。聖書が影響を与えた、といったことはないのでしょうか。

授業で紹介した『神仙伝』は4世紀頃の成立で、キリスト教が中国へ伝来する遥か以前のものです。よって、直接キリスト教の影響を受けた、ということは考えられません。しかし、この時期に成立した中国の志怪小説(怪異な出来事を収録した「史書」)のなかには、出エジプト記にそっくりな物語が描かれていたり、ソドムとゴモラの逸話によく似た伝承が語られたりしています。『旧約聖書』そのものというより、そのモチーフになったものと同じ類型の物語が、中国へ伝来してきていた可能性は考えられます。