庚午年籍が永久保存とありましたが、なぜ保存されたのでしょうか。結婚したら姓は変わるし、死んだらいなくなりますよね…。 / 多くの資料を、どこにどうやって保管したのでしょう。

律令の規定では、戸籍は諸国において3部作成され、それぞれ当国、民部省中務省に保管されました。これらの官司が整備されていなかった天智朝段階で、どこに保管されていたかは分かりませんが、恐らくは近江朝廷のどこかに管理されていたのでしょう。永久保存の意味は「氏族の根本台帳」としてであって、現在列島のそれぞれの地域に生きている人々が、何氏の出身、良民なのか賤民なのかなどを情報として保存しておき、後々の混乱や訴訟の際に遡って確認できるようにするためでした。これは奈良時代以降にも、実際に訴訟などの際に参照された記録がありますので、壬申の乱でも失われなかったことが確認できるのです。