男性差別というものはなかったのでしょうか。

結局差別というのは、その共同体もしくは社会において、多数もしくは権力の強い側が、少数もしくは力の弱い側を抑圧するなかで生じます。男性差別が成立するためには、男性よりも女性が権力を持つ共同体、社会を想定しなくてはなりません。現在に至るまで、「概ね」その種の社会は存在してこなかった、それゆえに男性がその性の特徴において差別されるということはなかった、といっていいでしょう。現代においても、男性差別と疑われる情況のほとんどは、その男性性によってではなく、むしろパーソナリティに対する攻撃である場合がほとんどです。