縄文における祖先の発生は、人と人との繋がりに対する意識が強くなったものとも考えられるが、そのなかで男女間の差違はあったのだろうか?
うーん、難しいですねえ、いい質問です。いま、手許に環状集落、墓地出土の遺骨に関する、性別が分かるデータがないのですが、〈祖先〉として扱われるものに性別の偏差があるかどうかは、確かに考えてみる必要はありますね。ただし、縄文時代の文化的象徴を通じてみてみると、やはり女性性に関するものが多いことは確かです。後日授業で扱いますが、土偶は大部分、大地母神のイメージで造型されているのではないかと推測されます。妊娠した姿の土偶、いままさに出産しようとしている姿の土偶、土器のレリーフなども多く見出されています。大湯遺跡出土の土偶がやはり女性像と推測されることからしても、祖先は女性の可能性、大地母神に連なるものであった可能性が高いのではないでしょうか。