ヤマト王権の大王として評価された「実力」とは、武力、経済力、政治力、宗教力などのうち、どのような力だったのでしょうか?

時代のそれぞれの局面において、〈実力〉の意味するところは異なっていたのではないかと思われます。しかし、経済力、軍事力、あるいは祭祀などを通じた呪術的能力、それらは最終的には政治力に収斂されてゆくのでしょう。百舌鳥古墳群古市古墳群を形成した河内グループは、朝鮮半島南部との強いパイプを持ち、多くの鉄素材を得ていましたので、その権力の基盤となっていたのは経済力であったといえます。しかし、鉄素材は加工されて武器・武具となり、軍事力の強大さをも標榜する。また、半島とのパイプや、威信財としての金属器を通じた同盟勢力との繋がりは、大きな政治力となって総合される。そうしたポジションにあるものは、やはり強力な呪術的エネルギーを持つ存在と考えられたのではないでしょうか。