ペットを飼っている人が、増えすぎて育てられなくなってしまうのを防ぐために避妊手術を施すことについて、どう思われますか?

まず、動物を人間の管理下に置き、愛玩用に飼育するということ自体に反対です。もちろん、愛玩用に交配された新種の生産、価値を上げるためのブリードにも反対します。他者としての動物を理解し、人間の傲慢に気付くために飼育するのであれば、可能な限り自然に近い状態で〈共生〉しなければならない。もちろん、そうすることで自身の生活や社会への軋轢は生じるでしょうし、激しくもなるでしょうが、それを引き受けられないのであれば手を出すべきではない、と思います。もちろん、これは理想であって、われわれが社会の一員として生きている限り、貫き通せないことも多々あります。ぼくは、小学生の頃に手乗り文鳥を飼い、雛を育てる力が充分になく死なせてしまってから、ペットは飼育していません。しかし、現在の持ち家には狭いながらも植え込みがあり、幾つかの植物を植えてありますので、それを世話するために枝落としをしたり、虫を殺さなければならない場合もあります。以前、生け垣のベニカナメモチにイラガが大発生したことがあり、目の前の道を通る子供がかぶれるなどの被害を防ぐためにも、かれらを「駆除」する必要が出てきました。殺虫剤をかけるのが一般的で楽なのでしょうが、それでは他の生きものも殺してしまい、にもかかわらず自分の精神的負担は軽くなってしまうので、イラガ一体一体の生命を引き受けるためにも(もちろん自己満足です)、ひとつひとつ手で摘まんで、数日かけて「駆除」してゆきました。効率的ではありませんが、どこに理想を持つかによって、生きものとの付き合い方はだんだん変わってくると思います。