2010-01-13から1日間の記事一覧

レポートは中世や近世、近代が主体でも構いませんか。

もちろん、古代史以外の分野でも構いません。課題に叶ってさえいれば、日本のどの時代をメインに据えても結構です。

レポートの参考文献は書籍が望ましいですか?ホームページからの引用が混ざっても大丈夫でしょうか。

ホームページからの引用については、URL、アクセス日時を書いていただければ結構です。ただし、情報リテラシーの科目でもいわれているでしょうが、書き手の属性がよく分からないページは、学問的に問題がないのかどうかきちんとソース批判をしてからでないと…

コウノトリが赤ん坊を運んでくるという話も、穂落し神に関連しているのでしょうか。

もちろん同じ類の伝承です。とにかく、長い脚・長い首の鳥が命の種を運んでくるという信仰が、ユーラシアの東西に古くから存在したようですね。それがなぜなのかは分かりませんが、彼らが白い翼を広げて「渡る」姿が、他界から幸福を運んでくる吉兆にみえた…

信仰の対象にならなかった動物はいるのでしょうか。 / 小鳥に対する信仰はなかったのでしょうか。

歴史学や考古学など過去を扱う学問では、「なかった」ことを立証するのは困難です。アニミズムという森羅万象に精霊を認めた原始信仰が基盤にある以上、あらゆる動植物に対する信仰は「あった」可能性があります。しかし、人間生活と関わりの深い動物、人間…

鹿を殺すことが、神を殺すことになるとは考えなかったのでしょうか。

これは、狩猟採集社会のアニミズム信仰の復習になりますが、こうした信仰では精霊が本体ですから、送り儀礼を行えば鹿を殺したことにはならないのです。鹿に対する送り儀礼が、弥生時代にどのように実践されていたかは不明ですが、現在でも高知県などでは、…

『もののけ姫』で、シシ神とヤックルが同系統の生き物であるのは、何か意味があるのでしょうか。

これは、もともと特別な意図があったわけではないと思います。映画版『もののけ姫』のもとになった作品のひとつに、宮崎駿による絵物語『シュナの旅』があります。モンゴル高原が舞台で、貧国の王子シュナが神の国から麦を奪ってくるという物語。シュナはア…

もとになった『太平広記』の虎の話にはトーテム的要素がないのに、日本の鍛冶屋の婆には狼の子孫の問題が出ていました。これはどうしてでしょう。また、なぜ鍛冶屋なのでしょうか。

「鍛冶屋の婆」に出てくるトーテム的なくだりは、おそらく憑き物信仰に基づく記述でしょう。これは近世の民話世界で濃厚になって行くのですが、例えば貨幣経済の農村への浸透によって、これまでとは違い突如裕福になる家が出てくる。そのとき所属の村落成員…

翻案された中国の物語を通じて、中国語の語句や表現が日本へ定着することはあったのでしょうか。

前々回の授業で「汝」の話をしましたが、もちろん翻案以外でも、日本の熟語の大部分は中国の書物から輸入されたものです。物語で面白いのは、例えば「縊鬼」という幽霊の話。これは清代の怪異小説『子不語』『閲微堂筆記』などに出てくる首吊り者の幽霊なの…

中国ではそれほどたくさんの虎がいたのでしょうか。今はあまりいるという気がしないのですが。

中国の虎害は大変なもので、その凄まじさはあらゆる文献に出て来ます(もちろん、狼と同様の誇大宣伝も行われたでしょうが)。明代には虎害を回避するための「駆虎文」という祭文が、各都市を守護する城隍神に奉られました。虎の減少は日本の狼とほぼ同じ推…

中国の物語が日本へ翻案されるときには、何か目的があったのでしょうか。例えば『日本書紀』には、小中華としての立場を示そうという意図があったと思うのですが。

『日本書紀』ほどあからさまではなかったでしょうが、漢学者・儒学者のなかには中国正統王朝を神聖視する方向性は強く、そうした意識から翻案が行われたこともあったと思われます。しかし多くは、漢籍に書かれた思想や教訓を日本へも流布しようと、舞台や登…

『前田貞親手記』記載の狼害で、夏に被害が集中していたのが気になります。

旧暦ですが、8〜9月に最も被害が多かったのは確かなようです。春に生まれた子供の餌を確保し、冬を耐える脂肪を身につけるためであったのかも知れません。

なぜ狼に対しては、熊のような送り儀礼が行われなかったのでしょう。

熊と異なるのは、熊が食用や胆汁をとる獲物であったのに対し、狼は食用や薬用として一般的に「消費」されていなかったことです。ただし北海道では、送り儀礼に使用されたとも思われるエゾオオカミの頭蓋骨が、新ひだか町指定有形文化財として保管されていま…

狼が神から恐怖の対象としての獣に簡単にかわってしまうことが、よく理解できません。狼が人を襲うことも、祟りとして認識されなかったのでしょうか?

前回のブログでも少し書きましたが、狼が動物と考えられるに至って、「祟り」という枠組みでは捉えられなくなったようですね。話すと長くなりますが、「祟」という概念は、中国古代の殷王朝が国家的レベルで行う占いによくない結果が出たとき、それを具体的…

蛇は水神であるとのことですが、近所の神社では白蛇を金の神として祀っています。白蛇は普通の蛇と違うのですか。

講義でも述べましたが、蛇には生命の秘密を知っているという信仰がありました(これも起源は水なのでしょう。水は生命の源で、世界の始発には水だけがあったという神話も各地にみえます)。そこから派生して、秘密を守る者、宝を守る者という発想から、蛇が…