完全変態の昆虫などが、信仰の対象とされることはなかったのでしょうか。

日本列島の古い時代においては、昆虫を、死と再生のモチーフとした事例はあまり見受けられません。弥生の銅鐸絵画には、アメンボやカマキリが見受けられますが、稲作との関連(すなわち水田に生息する生物)で注目されたものでしょう。飛鳥〜奈良時代になると、中国から蝶を魂の象徴と捉えるような発想が伝わってきますが、それまでは、絹生産に有用な蚕などを除いて、虫全般は気味悪がられる傾向の方が強かったようです。